「まったく、どこまでも傲慢なやつらだわ!」









この言葉を聞いたとき、私は耳を疑った。




ジェームスポッターとシリウスブラック。
別にハッフルパフ生やレイブンクロー生から嫌われているわけではない。むしろ、いや、かなり人気がある。うちの監督生を差し置いて、だ(優しくて、頭もいいのに!)
もちろん、スリザリン生からは嫌われているが、それでも女子の大半からはポッターはとにかくブラックは人気がある。なにしろブラック家だし。かっこいいし。頭いいし。
そんなわけだから、グリフィンドール生からは100%の支持を受けているのかと、ましてや女子で彼等を嫌いな人なんていないものだと思っていた。

だから、この言葉がリリーエヴァンスの口から発せられたのだと知ったとき、私は耳を疑ったのだ。だってグリフィンドールなのに!








ことの始まりはなんでもない。

私が少し遅刻をしてしまって(トイレがやたらと込んでたのよ)、ジルに先に行ってもらって後から席につこうとしたら、「ここいい?3つ開いてる席ってもうないの」と3人連れに言われてしまって「どうぞ」と譲ってしまった。
そして開いてる席を探してたら、グリフィンドールの女の子の隣が開いていたから「いい?」って聞いたら「どうぞ」って言われたから座ったのだ。名前は出席を取っているときに覚えた。
それで授業がはじまって、いつも通り必死でノートを取っていたら、例の二人組みがいたずらをはじめて、黒板のまだ私がノートを取っていない箇所にドロドロとしたものをぶつけたもんだから、
「え!ウソ!!」
と叫んでしまい、横にいたエヴァンスが「写す?」とノートを貸してくれたのだ。
字がキレイだ・・・。

そして写しているとエヴァンスがさっきの言葉を発したのである。



私はそんなこともあるんだ、とポカンと見ていた。







「あなた、あの二人嫌いなの?」

思わずそう言ってしまった私をエヴァンスは同じようにポカンと見た。

「ええ、だってとっても傲慢だと思わない?だいたい授業を潰して、弱いものいじめをして、偉そうにして、なんなのよあの態度。あいつらに一体何の権利があって周りを不愉快にさせるの?!」

一口にそう言ったあと「あぁごめんなさい、初対面の人にこんなこと言うものじゃないわね」とすまなさそうに謝ってきたので「ううん!大丈夫!」と言った。彼女の深い緑色の目が悲しそうにしているのがとても嫌だったのだ。「ありがとう」と笑ってくれる彼女を見て、私はこの子はいい子だなぁ、なんてしみじみ思っていた。







先生がなんとか授業をやり遂げ、終了のベルがなった。
それと同時にエヴァンスは「さぁ、早く教室を出ましょう!」と言って立ち上がり、私の背中を後ろから押しながら歩き出した。私は押されて歩きながらも、突然の行動に驚き、またジルを待たなければならないことも思い出して焦った。
教室の外に出た時、「ごめんなさい、私友達がまだ中にいるから待たなくちゃ」そうエヴァンスに言った。彼女は「あら、そうなの?」と言い私を押すのをやめた。そして、「じゃぁ――」と言ったときである。



「エヴァンス!!なんて美しいんだ!」

という声が聞こえてきたのだ。
私は驚いて声の方向へ顔を向けると、そこにはニヤニヤしたポッター(そうだ、入学式の男の子は確かこんな顔だった!)とニヤニヤしたブラックがいた。


「あら、どうもありがとう。じゃぁ私行くわ」

私がまたエヴァンスの方を向いたとき、彼女は眉間にしわを寄せて、すごく嫌そうな顔をしていた。エヴァンスにこんな顔をさせるなんて、この二人は嫌なやつかもしれない。そう思うくらい私はエヴァンスを気に入っていたのだ。
それからエヴァンスは彼等に背を向けて歩き出そうとした。
しかし、「待ってよ!」といってエヴァンスの腕を取るポッターによって止められた。

「何?」

またしかめっ面をしながら言うエヴァンスにポッターはまだニヤニヤ笑いを崩さなかった。




そのとき、丁度ジルが教室から出てきた。



ジルはこの状況を見て、全ては分からなかったものの、私が妙なことに巻き込まれて困っていることを察し(頭がいいからなぁ、ジルは)、「、行くよ!」と言ってズンズンと歩き出した。ほんと、ジルには感謝してる。
そして私はホッとしながらも、咄嗟に「リリーも行くわよ!」と言ってポッターに掴まれているエヴァンスの腕をひっつかみ、ジルに続きズンズンと歩き出した。
絶対後ろは振り向かない。だってポッターたちに顔を覚えられたらどうなるか分からない。幸いさっきまではエヴァンスの方しか見ていなかったし、きっと大丈夫だろう。うん。
しばらくして先頭のジルが中庭へ出たとき、私たちはようやく止まり、ポッターたちがついてきていないことを確認してようやく一息ついた。


「何してたの?」
ジルが私達にたずねた。

私はエヴァンスの腕を握ったままだということに気づき、
「ごめん、痛くなかった?」
と言って慌てて放した。



「いいえ、大丈夫よ、ありがとう。」

エヴァンスはキレイな顔で微笑み、ジルに「ポッターに絡まれてて」とだいたいの成り行きを説明したうえで、ジルにも「ありがとう」と言った。
ジルもすぐにエヴァンスを気に入って、自己紹介をした。
エヴァンスは「リリーと呼んで」と言ってくれたので私たちはファーストネームで呼び合うことになり、私は少し嬉しかった。だってエヴァンス、いやリリーと少し近づけた気がしたからだ。






「じゃぁまた授業で」






それ以来私達は合同授業のときは一緒にいるようになった。


競い合っているのに、別の寮に友達ができるなんて、なんて幸せなんだろう、と私は思いながらまた同じように日々をすごした。











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えーっと、リリー夢です。
「エヴァンス」なのか「エヴァンズ」なのか。
5巻は「エバンズ」でしたが。
自分的には「エヴァンス」が好きなのでこっちに。
外人の発音を聞いてまた書き替えよう・・・

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